Technote

by sizuhiko

CakeFest2014に参加しました

9/19に茅場町Co-Edoで行われたCakeFest2014報告会でも話した内容をベースに記事にしました。

すでに同日に発表された@yandoさんの記事「マドリードで見たCakePHP3の明るい未来」が秀逸なので、CakePHP3の動向についてはその記事をご覧ください。

では私は何を書くかというと、報告会でも話したCakeFest2014の全体感と、来年10周年を迎えるCakePHPを盛り上げる為にみんなでCakeFestに行こう!という気分になってもらえると良いな、というまとめになっています(ちょっとはCakePHP3についても書くよ)。

CakeFestの歴史

CakeFestは2008年に始まって、今回で8回目になります。 参考URL:lanyrd.com

  • 2008/02 フロリダ・オーランド
  • 2008/12 ブエノスアイレス(参考URLの年は間違っています)
  • 2009/07 ベルリン
  • 2010/09 シカゴ
  • 2011/09 マンチェスター
  • 2012/08 マンチェスター
  • 2013/08 サンフランシスコ
  • 2014/08 マドリッド

初年度を除いて、およそ1年に1回世界中からコミュニティのメンバーが集まるお祭りです。

2回目のブエノスアイレスを除いてアメリカとヨーロッパで開催されており、私が始めて参加した4回目のシカゴからは8月終わりor9月初めに開催されるようになりました。 コアデベロッパーは家族や彼女と来ていたりするので、夏休みも兼ねているのではないか、という緩いイベントだった..だったのです。

緩い理由は例えば2012年(マンチェスター)のスケジュールを見てもらえるとわかりますが、9時に始まって16時ぐらいには終了です。このときは2トラックだったこともあり、セッション数としては少なくはないのですが、泊まりのカンファレンスイベントとしては割とあっさり終了する感じです。このあとはLTやりたい人がいればやるみたいな、日本のキッチリしたイベントの仕切りやテキパキ感というよりは参加者がお茶やビールを片手に交流する時間がたっぷり取られているという感じだったのです。

2014年は違っていた

私もCFP(Call For Paper)にセッションの応募をしたのですが、落選してしまいました。 で、確定したスケジュールを見て、ビックリしたのです。 朝は9時からと例年通りですが、終わる時間が!!なんと21時ですよ。つまり12時間。これはちょっとしたPHP Matsuri状態ではないですか。

今年はシングルトラックでしたが、あんまりBreakタイムがなかったので、各自の判断でカンファレンスルームの外で話したりしていた状況ではありました。

なお私が知る限りのCakeFestの中では、最もイベントとしてのテキパキ感とかはあったように思います。これもコミュニティマネージャであるJames Watts氏の活躍があってこその事。CakeFestの仕切りも3回目という事でだいぶ慣れてきたのかなーとも思います。

CakePHPの中の人たち

そういえば、あまりCakePHPの中の人たちって使っていてもCakeFestに参加しないと知らないのではないかと思い、コアチームのメンバーの顔と名前が一致するように、2枚の写真で紹介します。

photo by Anna Fillina.

左からJames Watts、Jose Gonzalez(@savant)、Larry Masters(@phpnut)(敬称略)

こちらの写真は私がスペインに到着した夜の出来事なのですが、まぁお酒もだいぶ入っているところでの余興みたいな感じだったのでしょう。私はフライトの疲れでビールを1杯飲んで部屋に戻ってしまったので見ていなかったのですが、こんな感じでホテルのバースペースで盛り上がったり、そのあと朝4時まで繁華街へ飲みに行ったりしていたみたいです。 毎年朝方まで飲んでいる参加者がいるのもCakeFestの一部です(その影響か午前中はホテルの部屋から出て来ない人も多数ですがw)。

で、写真の後どうなったか、というとコチラの動画から確認できます。

ここ数年はコアチームへのQ&Aセッションがあります。こちらでもCakePHPの中の人たちを確認することができます。

photo by Anna Fillina.

左からMarc Ypes(@ceeram)、Mark Story、Mark Scherer(@dereuromark)、Larry Masters(@phpnut)、José L. Rodríguez(@josezap)、Jose Gonzalez(@savant)、Renan Gonçalves(@renansaddam)、James Watts(敬称略)

CakePHP1.3の終了と2系の今後

Q&Aセッションはカンファレンス1日目のお昼直後に実施されたのですが、午前中にMark Story氏からCakePHP3の話と、1.3のサポート終了の話があったので、その2つについて質問が集中していました。1.3のサポート終了に関しては、何とちょうど先週顧客にCakePHP1.3を使った案件の提案をしたばかりなのに、どうしたら良い?何とかならないの?!というビックリするようなQを聞きました。先日も1.3のアップデートがあったり、1.3自体非常に長い間使われているのだなぁと思いました。その後、質問をした人になんでこれから1.3使うの?と聞いたら、資産があるから、という事でした。 こちらのAは、ベストな方法はマイグレーションすることだけど、3ではなくCakePHP2にするのが良いという話と、1.3の件は通常のCakePHPとしてはムリだけど、CakeDCとして考えられなくもない。まぁビジネスだね、という回答でした。 とはいえ、たぶんCakeDCも1.3の面倒を見続けるのは現実解ではないので、マイグレーションのサポートをする事で解決をするのではないかなーと思われます。

日本でもまだCakePHP1.xを使っているサイトなど残っていると思いますが、3へのジャンプは難しいと思うので、まず2系にしておくことが重要になるでしょう。 2系についてはまだ3年はサポートと今回明言されています。じゃぁまた3年後には3にしないといけないの?!という話はあるかもしれませんが、1から2系へはアップグレードシェルがあるのと、3のアップグレードシェルができたとして、2系からのアップグレードのみ対応であると推測されるので、まずは2系なのかなと思います。これは上記のコアチームのQ&Aでの回答からも妥当な判断と思います。

CakePHP3で気になっていたこと

CakePHP3のもくもく会で、何度もCakePHP3を試しているのですが、昨年ビヘイビアって無くなるって言ってなかったか?と思い、ORM担当の大きいJoseこと@jose_zapに確認しました。答えとしては、いろいろ考えたけど、コールバックの関係もあって互換性を考え残すことにした。もちろんTraitにしてEventマネージャを使うアプローチは素晴らしいし、できればそちらを使ってほしいけど、コアとしてはビヘイビアも残すよ、ということでした。

恒例のリアルケーキ

今となっては恒例となったリアルケーキ。実はCakeFestで始めてケーキが登場したのは、2010年のシカゴだったと記憶しています。 キッカケは日本で開催されたCakePHPカンファレンス東京で、当時のCakePHP開発マネージャだった@gwoo氏を招いてCakePHP型のケーキを出したのがとてもウケが良く、それが本家でも採用されたと。CakeFestには日本コミュニティのDNAが含まれています!

この直後、コアチームとして新しく入った@dereuromarkがファーストバイトならぬカップケーキ投げの手荒い歓迎を受けたり、サプライズイベントがあったり、楽しくケーキを食べながら交流を深めて解散となりました。

CakeFest2014で感じたこと

CakeFestに参加すると、良く知った常連さんと、始めての人がいて、なるべく始めて会った人と話すようにいつも心がけています。

各国でのCakePHPの普及状況や、コミュニティの活動などの話を聞くのですが、ドイツから参加してきていた人の話によると、CakePHP(PHP)のイベントをやりたいけど、なかなか人が集まらなくて苦労している。日本ではどうなの?という話から、日本の状況を説明すると、とても日本のコミュニティが羨ましいという感想をもらいました。これはドイツ以外の参加者からも同様の反応をもらったのですが、まぁ日本というか東京など都市部には人が密集していてやりやすい状況なのかな、とも思います。そういった環境面やコミュニティ活動を積極的にやってくれる人がいるので都市部のエンジニアは特に恵まれた状況だと思います。もっと勉強会やイベントに出て交流しましょう!

今年は(も)シングルトラックだったのでほぼ全てのセッションを見る事ができたのですが、CakePHPと関連するセッションは、コアチームに集中していて、他のセッションはPHP全般だったり、JavaScriptだったり、HTML(CSS)だったりとCakePHPに関する話題は例年以上に少なかったような気がします。 これはCakePHP2のライフサイクルがだいぶ長くなっていて新しい話題が少なめなのと、まだ3は早すぎるという状況もあったのではないかと思います。 来年はコアチーム以外からも3の話題がもっと出てくるのではないかと思います。

CakeFest2014のjoind.inにスライドのリンクがあるので、ぜひCakePHP3のセッションについては見て欲しいのと、公式のPodCastが配信されているので、そちらも聞くとCakePHP3について理解が深まると思います。

CakePHPに関する話題以外で、ぜひスライドをチェックして欲しいのは

  • Writing code that lasts presented by Rafael Dohms
  • Why You Can’t Test presented by Chris Hartjes

どちらもPHP界では有名人で、同じ内容を各国のカンファレンスで講演しているので、どこかで見ているかもしれませんが、一度はチェックしてみてください。

LTもやったし、BDDプラグインの人として声をかけられたり、交流できた

また初日のLTでData Generator for Testing CakePHP Application(いつものテストデータの作り方の英語バージョンです)をやりまして、反響もたくさんもらいました。 CakeFestのスピーカーの中には、特にCakeと関係ないけどPHPのセッションとして応募してくる人もいるので、他のフレームワークには対応しないの?とか、Fakerと連動するにはどうするの?などなど。 CakeFestではLTは当日募集で、手を挙げればもれなく喋れるので、海外カンファレンスでのプレゼン登竜門としては最適と思います。

それと自分の自己紹介スライドのアイコンから、BDDプラグインの人でしょ?と声をかけられたりもして、Breakタイム少なかった割によく話したなーという印象でした。

また例年以上?に日本自体に関心がある人がいて、日本語喋れるノルウェーからの参加者(漫画大好き)だったり、日本食について聞いてくる地元スペインの人だったり、3次会でカラオケ行こうと誘われたり、フクシマの話をしたり、PHP以外の話でも交流ができました。

「海外のカンファレンスとか行ったことないし、大変そう」という方がほとんだと思います。私もお世辞にも英語得意でない(割と適当)けど、何とか交流できています。CakeFestであれば、ここ数年@yandoさんや私が参加していますし、行きたいと宣言すれば一緒に行く人が見つかるかもしれません。

もし会社勤めのエンジニアだと休みが取れない、経費出ない、など難しい事情があるかもしれないのですが、ぜひ上司と交渉して来れるようになると良いなと思っています。参加して得られることは文章では書けないぐらい大きいです。

コミュニティマネージャからのメッセージ

最後にコミュニティマネージャであるJames Watts氏から、キーノートに関連して日本のコミュニティへメッセージをいただきましたので、動画をシェアします。 では来年のCakeFestで会いましょう!

最初のトラブルは、テラスの石畳と砂利の間に足を取られて転びそうになったのです…